これまでとこれから

2016年4月5日 富山県は南砺(なんと)移住303日目

第ニ三五九回 ROTARY CLOB JAPAN NANTO例会

君が代斉唱

僭越ながらゲストとして 卓話をさせていただいた

これまでとこれから

『 全文 』

南砺市地域おこし協力隊 農林業資源を活かした産業化担当 伊勢谷 千裕 ○地域おこし協力隊としての自己紹介 平成21年に総務省の制度で始まった地域おこし協力隊は、人口減少や高齢化等の進行する地方において、地域外の人材を自治体が積極的に受け入れ、地域協力活動を行なってもらい、地域力の維持・強化を図っていくことを目的としています。7年目を迎えた今、日本全国に2600名ほどが活動しております。 現在、私たち南砺市地域おこし協力隊は上平担当に三年目の渡邉麻衣、空き家・移住・定住対策担当に二年目の井上浩延、農林業資源を活かした産業化担当に私一年目の伊勢谷千裕、キッチンカーを活用した食からの地域再生担当に一年目の萩中雅之、そしてこの4月度から利賀村担当と平村担当に新たな隊員が加わり計6名で活動しております。数多くある地方の中で南砺の伝統や文化や豊かな自然に惹かれて、それぞれの想いを胸に移住して参りました。 任期は一年更新の最長三年となり、ひとりひとりが課せられた任務を遂行しながら、お互い情報交換をしたり協力し合ったり、時には全員でひとつのプロジェクトを成し遂げたりしております。そして実際に南砺で暮らすことで地域の行事や獅子舞い、祭りなどにも積極的に参加して地元の方々と親睦を深めながら歴史や生活の智慧など多くのことを学び、南砺の魅力を全国に伝える目的や、僕らが普段どんな活動をしているのか、どんなことを考え、どんなことを想い、どんなことを感じ、そしてどんなことに悩みながら日々奮闘しているかを知っていただく手段としてFacebookで活動内容を発信しております。もちろんインターネットやFacebookをやっていないという世代の方もいらっしゃるので、紙媒体として年4回の季刊誌を発行し南砺市約17000世帯すべてに配布しております。この手間暇かかる季刊誌ですが、活動したらしっかりと伝える、活動したらしっかりと伝える、私はとても重要で大切な位置づけにしています。 地域おこし協力隊とはなんぞや?という質問をよくされます。私自身まだまだ模索中ではありますが、県外から移住して、外からの視点でその町その村の魅力を再発掘しながら、価値がないと思われていたものに価値を見出し、そこに息づく地元の方々の文化や誇り・郷土愛をよく理解し、一緒に問題や課題を共有し地域を活性化すること。退任後は起業する人、就職する人、故郷へ帰る人、まだ見ぬ土地へ移住する人、地域おこし協力隊の数だけ答えがあるのではなかろうかと考えております。 ○個人の自己紹介とこれまでの活動 2015年6月8日より神奈川県より移住して参りました。 太平洋側の湘南近辺に住んでいたこともあり趣味はサーフィンだったりキャンプだったりとアウトドアスポーツです。現在、城端は大鋸屋村に暮らしており、移住して第一印象がまず家が大きい。二階建て一軒家に一人暮らしをしております。日頃生活していると玄関がピンポーンと鳴ったかと思うと「伊勢谷さーん」、ガラガラガラ、ドタドタドタとご近所さんがいつの間にか家に入ってきてくつろぎだし、小一時間ほど話をしてゆくのにビックリしました。これまでの都市での環境とはまるで異なり、見渡す限りの田園風景と山々 数えきれないほどの輝く星空に感動するとともに、あまりにも空が広すぎて、ふと我に返った瞬間、どうやって生きていけばいいのだろう、とんでもないところに来ちゃったなと怖くなったこともありました。 田舎暮らしはのんびり静かな暮らしなのかなと想像していましたが、草刈りや猪の電子柵・獅子舞いの稽古・雪かきと村の住民が一体となって助け合いながら暮らしているのだなとつくづくしみじみ想いました。おかげさまで南砺に移住してから10ヶ月程経ちますが一度も寂しいと思ったことはありません。 任務は農林業資源を活かした産業化担当、任務地域は南砺市全域です。前職は絵本の物語作家で処女作「ほんの小さな物語」・第二作「太陽と月の歌」を出版。様々な場所で大人から子供へ絵本を読み聴かせるイベントや、手作り絵本のワークショップを開催。キャッチコピー・コピーライターや雑誌の記事、野外音楽フェスのイベントテーマの物語を書く仕事等を受けてきました。 これまでの物語作家として描く世界はファンタジーでした。ただそれは美しい言葉の羅列などではなく、歯の浮くような綺麗ごとの物語でもありません。社会問題や環境問題・地球の裏側で起こっている先進国と後進国との間の不条理などを徹底的に調べ、過酷な現実を見つめて見つめたその先に広がる、それでも明るくたくましく生きる人間をファンタジーの世界で描いてきました。真実を知れば知るほどに世界は問題にあふれていました。今でも言葉の力は信じています。しかしながら知ってしまった人間の責任として問題があるならば、そこには必ず具体的な解決策があると考え、現場で泥だらけになりながら、人と人との対話の中で「行動」することで、都会にはない農業や林業、豊かな自然の優位性を活かす地方創生事業に従事したいと想いました。そして南砺市が掲げる再生可能エネルギーと循環型社会の世界に誇れる最新型の町づくり、エコビレッジ構想に感銘を受け是非携わりたいと想い、移住する決断となった大きな理由の一つであります。人類はエネルギー問題と食糧問題とこの2つの命題から逃れることはできません。 まず私のやるべき事は兎にも角にも南砺のことを「知る」という事が大切だと強く感じ4町4村を駆けずり回り、その土地土地に暮らす人に逢い、話を聴き、根付く精神性、そして福光は湧々農場では地元でとれる落ち葉や枯れ草や菌と発酵の力で堆肥を作る炭素循環農法の農業・利賀村は一社)moribioの間伐をして森を生き返らせる林業・世界文化遺産 五箇山合掌造りの茅場の伝統保全など実際に一緒に汗水を流すことで苦労や喜びなどを体験して、農業から働くことの本当の意味、林業や茅場から人間と自然との共存共栄を学んでいます。深く知るほどに南砺は世界に誇れる伝統や文化や工芸があります。前職が物語作家なので、私の能力が最も発揮できる言葉の力で、日々の暮らしを綴った毎日更新している南砺移住日記ブロクで南砺の魅力を配信していたところ、日本全国から反応があり南砺という読み方すら知らなかた方々が、今南砺では面白いことが起きていると興味関心を持っていただき、南砺って何県?と言っていた友人知人が何人も私の家に訪ねてくれて観光案内もしております。そしてただ観光名所に連れていくのではなく、南砺の魅力はまさに人間力だと感じているので必ず地元の人たちに逢わせています 春、夏、秋と農業体験・林業体験・茅場の草刈を通して、人間と自然とがいかに密接に暮らしているのだという事を学んできました。移住して半年間ほど、南砺のことを「知る」という事に尽力していたところ、環境省がすすめる草の根事業「つながろう、支えよう森里川海」、泉の杜PROJECTの木育活動「南砺の山で育った木を使ってペルーの打楽器カホン作り」、桜が池周辺エコビレッジ構想モデル地区の文献で確認できる世界最古の合掌造りかず良の有効利用「かず良を考える会」、子育て支援ポータルサイト「ecoto maman」、城端線・なんとバス・加越能バスの公共交通の有効利用など様々なプロジェクトの運営に関わらせていただけるようになりました。 そして、いのくち椿館で月に一度上映しているドキュメンタリー映画上映会をより多くの人に知ってもらいたく、南砺で初めて僕が立ち上げた「南砺に灯った町の小さな映画館」の企画&運営に携わっています。社会課題をテーマとする映画の上映後に来場者が問題を共有し、具体的な解決策を考え、南砺における社会課題や環境問題に照らし合わせ、みんなで話し合う良い機会となっています。そしてなにより映画は藝術でもあり娯楽でもあります。大人から子どもまで気軽に訪れられる温かい空間を創りたいと想い、昼の部の上映会では子どもが泣き出したり、多少騒いでしまっても温かく見守ろうというルールを設けています。 二月には半年間に及ぶ飛越能での生物多様性や自然と人間との共存共栄を現場で生きる人たちから勉強して、環境省が進める「つながろう、支えよう森里川海シンポジウム」にて皆で提言書を発表しました。それは国のお金の使い方を民から提案できるようにという内容です。そして南砺の木を使ったペルーの打楽器カホン作りの木育活動では150名もの大人や子どもにトンカチやボンドを使い楽器を自分の手で作ってもらい、カホン奏者の講師から叩き方を学び、最後は大演奏会を開催し、木を伐ったらエネルギーとして燃やすのではなく、まずは木材として使うことが大切なのだと伝えてきました。エコビレッジ構想の合掌造りかず良では茅葺き屋根の葺き替えの為の茅場の再生復活、昔ながらの養蚕の試験的伝統再生復活、そして持続継続可能な構造を模索しています。子育て支援ポータルサイト「ecoto maman」では南砺で暮らすお母さん方が安心してそして子育てが楽しくなるような地域社会をみんなで構築しようと協力し、妊娠中・出産・子育てと時期に応じた大切な情報提供ができるサイトを作ります。活動内容や理念を顔と顔を合わせて伝えられるようにエコフリマというマタニティ服や子供服や玩具のフリーマーケットを開催したところ500名ほど来場していただき「こんなフリーマーケットがあってほしかった」「次はいつ開催ですか?」という言葉をいただき大好評でした。域学連携では相模女子大学・大東文化大学・富山大学の学生をサポートしながら一緒に五箇山の食材を雪の中から調達するところから始まり、学生たちがメニューを考え調理しました。歴史ある城端はつごもり大市で大学生たちが一生懸命に接客をして地域の人と溶け込んで、赤かぶのポタージュや肉どうふ・そば粉のクッキーと全てのメニューを完売する事ができました。若者がいる、それがどれだけ町を元気にさせるのか確信いたしました。城端線・なんとバス・加越能バスの公共交通の有効利用に関わらせていただいているのは、南砺で暮らして唯一恐怖に感じたのは車社会という事です。もし原油が枯渇したらどうしよう。もし世界情勢が変わってガソリンが輸入できなくなったり高騰したらどうしよう。老後、視力が悪くなったり判断力が衰えたときどうしよう。こんなに歩かない生活の健康におよぼす害は?そもそも一人一台車を所有して環境的に大丈夫なのだろうか?そんな不安からバス停の場所やダイヤ・路線図を調査してサイトを開設する事と、ポケットサイズのパンフレットを作成して、住民にも観光者にも使いやすい公共交通網になるよう定例会議に出席しています。移住して早10ヶ月程になります。自然と関わる様々な体験を通し、たくさんの出逢いと感動がありました。今後は短期的な目標、長期的な目標を立て活動して参りたいと思います。「南砺の木を使ったモノづくりの木育」では皿や箸やスプーンなどを作り「森や川や里や海の恵みと発酵食文化を取り入れた食育」を合わせて自分が作った食器で健康的な料理を食べて学ぶというプロジェクトを計画中です。さらに農林課・ふるさと推進協議会・一社)moribioが進めている生態系保全の学びや林業の活性化を目的にした「森の大学校(仮称)」にも大きく関わらせていただけることにもなり、雪深い南砺で育った杉の木は年輪の密度が細かく上質な木だという事を検査機関で調べデータ化してブランド杉を作ることも計画中です。そして食の安心安全や命の根源の種を守る為に南砺における農作物の固有種・在来種の発見もしてゆきたいと考えております。 ○南砺の魅力と可能性 未曽有の大災害東日本大震災以降、都市部の経済成長のあり方に疑問を感じ、本当の豊かさとは何か?今の時代は夢を叶えに上京するから、夢を叶えに地方へ移住するという時代に変革の時期だと想います。豊富な水源に森林資源の再生可能エネルギーや見渡す限りの農地・子育てに恵まれた大自然を有効活用すれば、インフラが断絶しても、資本主義経済が破たんしても、独立して十分幸せに生きていける可能性を秘めていると感じました。もちろんそんな天変地異が起きてはならないことですが。移住してまずは農業体験をして参りまいた。野菜はスーパーでしか見たことが無かったですし、スーパーでしか買ったことが無いいわゆる都会人でした。ほうれん草って種があったんですねとか、ゴボウって綺麗な花が咲くんですねと野暮な質問をして笑われながら野菜の一生を知りました。そして食べている部分も葉っぱだったり茎だったり、根っこだったり実だったり花だったりと、そんなことも初めて知りました。都会ではアスファルトやコンクリートに囲まれたまるで違う生活でした。百聞は一体験にしかず。つべこべ言わずに土に触れることが大切と感じました。都会では自分がいて目の前に食べ物があって、それにお金を払って買うのが当たり前でしたが、農作業をしてみるとそこにお金を介在しない目の前で食べ物を育てている絶対的安心感がありました。いろんな農家さんに話を聞いて回ると育てるには本当に苦労するが無農薬有機野菜や自然栽培の安心安全な食べ物を、誰に一番食べてもらいたいかといえば子ども達だと皆さんおっしゃります。石川県羽咋市で前例はありますし学校や幼稚園の給食にできないだろうか?と考えております。そして皆さんの昔の暮らしの日常が、今の暮らしの非日常だったりします。山菜採りや味噌作り、田植え、注連飾り作りなどが都市部の人にとっては体験イベントもなります。地域おこし協力隊は3年で結果を求められる傾向があり、そのため派手なことをして地元の理解や合意がないまま失敗する事例がたくさんあります。私は南砺から湧き上がる魅力や底力を汲み取り、人と人との縁を繋ぎ、こつこつ地味な作業の中にこそ10年20年そして100年継続できる真の地域の発展があると考えております。 南砺にはむぎや祭りや曳山祭り・獅子舞いなどの伝統舞踊があり、それらが子どものころから自然と身についた地元に暮らす方々は、何気ない日常の所作までが美しくて驚きました。城端蒔絵やしけ絹や井波彫刻・五箇山和紙と伝統や工芸・文化・土徳の精神性・結の相互扶助・この南砺に息づく人々は産まれながらに本物を見てきているので目が肥えていて、ごく当たり前のように精神性の高い会話、古き良き懐かしい田舎暮らしと文化レベルの高い生活ができるのは、ここ南砺が誇る最大の魅力だと強く想います。ただ残念ながら観光客が宿泊する場所が少なく、そしてクリエイター・デザイナー・アーティスト・そしてプロデューサーが圧倒的にいない為、素晴らしいものがたくさんあるのに世に伝える手段が全然なく、今後自分が取り組んでゆきたい課題です。 そして私自身、物語作家ということもあり映画や音楽、芸術といった文化事業も盛り上げていきたいと考えております。 ROTARY CLOB JAPAN http://www.rotary.or.jp 南砺移住物語 chihiroiseyalife https://chihiroiseyalife.wordpress.com

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